大西洋の真珠として人々を魅了する島マデイラは、世界的に知られているマデイラ・ワインのふるさとです。


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ポルトガルの首都リスボンから南西に約1,000km、アフリカ沿岸から約600kmの大西洋上に浮かぶ火山性の島、マデイラ。マデイラ島、ポルト・サント島、及びいくつかの小群島からなるマデイラ諸島は1418年ポルトガル人によって発見されるまで無人島でした。最大の面積を有するマデイラ島を覆っていたのはMadeira(樹)という島名の由来にもなった広大な原生林でした。入植した開拓者たちによって放たれた火は、全島の樹木を燃やし尽くすのに7年の年月を費やしたと伝えられています。現在のマデイラ島の葡萄畑の土壌はこの灰によって形づくられたものなのです。マデイラ島は年間平均気温16〜22度と穏やかな亜熱帯の島で、その温暖な気候ゆえに「大西洋の真珠」と賛美されるヨーロッパ有数の避寒地として知られています。
 また、大航海時代には、大西洋航路の重要な中継地として脚光をあびました。ポルト・サント島の提督の娘と結婚したコロンブス、探検隊をひきつれたクック船長、セント・ヘレナ島へ流される途中のナポレオンなどがマデイラ島に足跡を残しています。
 大西洋のパラダイスとも言われるほどの温暖な島ですが、標高によりかなり気候差があります。標高1,750mの頂上付近は冷涼で松とヘザーが繁茂し、そこから海岸線への750m〜300m地帯が亜熱帯性の植生で、葡萄などの作物が栽培されています。伝統的なマデイラワイン用の高貴種葡萄の栽培は標高によって分けられています。

[高貴種葡萄の栽培と品種]
マデイラ島の海岸線は切り立った断崖で、ここを段々畑に開墾して葡萄栽培が行われています。葡萄畑には、16世紀以来の小石を積み上げた石壁が複雑に入り組んでおり、優れた排水能力を発揮します。マデイラワインの伝統的な高貴種葡萄としては、次のような品種があります。畑の標高によって棲み分けがされており、これがマデイラの特長のひとつになっています。
【セルシアル種】(Sercial)標高600m〜800mの最も高い地域で栽培され、辛口で芳香のあるマデイラワインに造られます。
【ヴェルデーリョ種】(Verdelho】標高400m〜600mのやや高地で栽培され、中辛口タイプのマデイラワインに造られます。
【ボアル種】(Boal)標高300m〜400mの暑い地域で栽培され、中甘口タイプのマデイラワインに造られます。
【マルヴェジア種】(Malvasia)海岸線から標高400mの最も暑い地域で栽培され、最も甘口タイプのマデイラワインに造られ、開拓の初期にクレタ島から持ち込まれたと言われます。
【ティンタ・ネグラ・モーレ種】(Tinta Negura Mole)どの標高域でも栽培され、収穫量も最も多い品種。他品種とブレンドすることでその風味を生かしたワインに造られます。
【テランテス種】(Terrantez)最高級の品種ですが生産量は極めて少なく、その性格はヴェルデーリョとボアルの中間で、非常に繊細です。
その他、非常に古い樹のみが残っている「バスタルド」(Bastardo)などの品種があります。


[マデイラの歴史と製法]
帆船時代の17世紀、赤道を横切る暑くて長い航海を終えると、積み込んだワインが特有のフレーバーを呈することが知られる様になりました。本来ならワインにとって大敵のはずの酸化が、偶然にもマデイラワインを特徴づける独特の風味をもたらしたのです。そこでワインをわざわざ船積みして航海させ、その独特の風味をだすようにした時期もありました。しかし、この時代のワインは酒精強化されていない単なるスティルワインだったので、現在のマデイラワインとは違いました。酒精強化が始まるのは18世紀になってからのことです。ジブラルタル海峡を巡る紛争によって、北米やカリブ諸国行きの船団がマデイラ島を経由しなくなり、マデイラワインは大きな市場を失ってしまいます。そのため航路が復旧するまで、島に倉庫を作り貯蔵しますが、平地の少ない島では貯蔵量に限界があります。そこでワインの一部を蒸留し、残りのワインに加えることで貯蔵効率と共に保存性を高めたのです。このワインを後になって飲んでみると、ことのほか味わい深くなっていました。このようにして酒精強化はマデイラワイン造りに欠かせないプロセスとなったのです。その後、長い赤道付近の航海で加熱しワインに独特のフレーバーを与えるという手間のかかる方法に代わって、エストゥファと呼ばれる加熱システムが考案されました。これによって、ようやく現在のマデイラワインのスタイルが完成したのです。
【アルマゼン・デ・カロール】(熱い倉庫)
昔は図のように一階で直火を焚いたり、倉庫のなかに管を張り巡らせ、その管の中にお湯を循環させることによって倉庫全体を温めていましたが、現在では日光などの良く入る温度の高い室で長い年月熟成されます。微妙な味わいを要求される高級品に適しています。
【クーパ・デ・カロール】(熱い桶)
管を内部に入れた桶(タンク)の管のなかにお湯を循環させる方法。35〜50度で3〜6カ月加熱されます。簡単で比較的早く効果が得られるため、スタンダードクラスなど大部分のマデイラワインに使われています。

マデイラの製造工程は、急勾配の葡萄畑で葡萄を収穫することから始まります。収穫後、葡萄を破砕し発酵させます。セルシアル、ヴェルデーリョ、ティンタ・ネグラ・モーレは果汁だけを、ボアルとマルヴェジアは2〜3日間果皮も一緒に漬け込みます。発酵は「クーバ」というオークの樽で行われます。酒精強化のタイミングは葡萄品種によって異なり、甘口のマルヴェジアは発酵の初期に、ボアルはそれよりやや遅れてまだ糖分があるうちに酒精強化のためのブランデーが添加されます。ヴェルデーリョとセルシアルは完全に糖分がアルコールに転化してから加えられます。いずれもアルコール分は14〜18%に調整されます。発酵後澱びきしてできた若く新しいワインは樽に入れられてエストゥファ(温室)で加熱されます。ヴィンテージワインには「アルマゼン・デ・カロール」という加熱熟成法が行われ、30度に近い温度の高い室で長い年月熟成されます。スタンダードワインには
「クーパ・デ・カロール」と呼ばれる加熱装置が使われ、50度以下で最低3〜6ヵ月間加熱されます。エストゥファの期間にワインは独特のフレーバーを獲得しますが、その代償として数%のアルコール分が失われます。
このあとワインは3〜4週間かけてゆっくり冷却されます。この過程は完成したワインに重大な影響を与えるため、極めて慎重に注意深く行われます。澱びきのあと樽のなかで長い熟成に入ります。最低3年間熟成しなければボトリングされません。



[個性豊なマデイラワイン]
マデイラワインは高貴種葡萄の種類により、それぞれが際立った特徴をもっています。


【セルシアル】(Sercial)アペリティフとして、ドライタイプで大変優れています。
【ヴェルデーリョ】(Verdelho)セルシアル程ドライではありませんが、香りはそれ以上です。
【ボアル】(Boal)ミディアム・スイートで、芳醇な香りと味わいです。
【マルヴァジア】(Malvasia)イギリス人にはマルムジィの名で親しまれ、香り高くなめらか。ベリー・スイート。
【テランテス】(Terrantez)特徴はヴェルデーリョとボアルの中間で、デリケート。特別の時に飲まれます。
マデイラワインには熟成年数やブレンドによっていくつかのタイプがあります。ただしマデイラワイン・インスティテュート(I.V.M)により、1.交配種やラブルスカ種の使用禁止 2.品質表示には最低85%の当該品種が必要である。等の規定が定められています。
【リザーブ】(Reserve)熟成5年以上。セルシアルなどの高貴品種をラベルに表記するにはその品種を最低85%使用していなければなりません。
【スペシャル・リザーブ】(Special Reserve)熟成10年以上。品種表記はリザーブと同様。
【エキストラ・リザーブ】(Extra Reserve)熟成15年以上。品種表記はリザーブと同様。
【ヴィンテージ】
(Vintage)秀逸な単一年度、単一の高貴品種から作られ、樽熟成最低
20年とさらに瓶熟成2年が必要です。

マデイラワインは、シェリー、ポートと並び世界3大酒精強化(フォーティファイド)ワインと言われています。他のワインにないマデイラの特徴は、加熱による熟成と風味づけがなされることですが、この独特の方法によってマデイラはその味わいで人々に感銘を与えるワインとなっているのです。
急斜面の細かく仕切られた葡萄畑に、ワイン運搬用道路が整備されるまではマデイラ島のワインの運搬は人手に限られていました。運搬の方法はふたつ。絞られた葡萄果汁は、45〜50リットルずつ羊皮袋に詰められ若者達に背負われて、何キロ、何十キロと山道を下りフンシャルの醸造場まで運ばれました。
もうひとつの方法は「樽」に入れられて海岸伝いに小舟で運ばれた後、係留地で海に放たれた樽を若者達が岸まで泳ぎながら運ぶというものでした。いずれもマデイラ島の地形上の問題から生まれた方法であり、今世紀初頭にトラックが導入されるまで続いた伝統的な運搬方法だったのです。この趣きのある光景は、現在では年中行事のワイン豊饒を祝うお祭りの中に息づいており、見る人の目を楽しませています。


マデイラワインの歴史上、最も有名な史話はナポレオンについてのものでしょう。セント・ヘレナ島へ流刑される途中の彼を乗せた大型船が補給のためマデイラ島に立ち寄りました。しかし、ナポレオンは上陸することを許されず、首都のフンシャル沖に停泊した船上から急斜面に広がった葡萄畑を眺望するしかなかったのです。当時の英領事が悲運の巨人に敬意を表して極上のマデイラワインを贈呈するために乗船していきました。これが有名なマデイラワインとナポレオンの逸話です。また豊潤なマデイラワインの味わいは、数々の歴史上の人物をも感嘆せしめています。命と引き換えにしてもいいと絶賛した、かのシェイクスピアもまたその一人です。マデイラワインを楽しむのは難しいことではありません。まず温度ですが、ほぼ15度位をおすすめします。ドライタイプの白は好みによって10度位に冷やしてもおいしく楽しめます。マデイラワインの栓は通常ブランデーと同様に、頭にプラスチックのついたコルク栓が使われていますので、開栓は簡単です。しかも栓をしっかりして冷蔵庫に保存すれば数週間は楽しめます。年代者のヴィンテージ・マデイラの場合は、少し注意が必要です。数日前から、瓶を立てておき澱を底の方にに沈殿させておきます。特に古いワインではコルク栓を抜かずに熱したヤットコ状の器具で瓶頸のガラスを切ることも行われます。そしてオリがまじらないようにデカンティングをして楽しみます。グラスはマデイラワインの豊潤な香りを楽しむために、チューリップ型の透明なものがいいでしょう。呼吸ができるようグラスに半分ほど注いで、少しずつ味わいます。
マデイラワインはアペリティフ、あるいはデザートワインとして楽しまれますが、一般的にドライタイプのものはアペリティフとして、スイートタイプものはデザートワインとして楽しまれています。
マディラ島の葡萄畑はほとんど棚式で栽培している。棚式の方が収穫量が多いからである。


マディラ島で栽培される葡萄品種は主にティンタ・ネグラモーレである。




垣根式栽培ではセルシアル種が栽培されている。
マデイラ島葡萄農場試験場からの風景
マディラ島の街並み
ボルゲス本社

ボルゲス技術者と記念撮影